「…よぉ寝とる」
腕の中で、子供のように安心しきった表情で眠る彼女の髪を指に絡めて弄ぶ。
「雷が怖い…言うて、部屋に来たんに…こないぐっすり眠られるなんて…」
柔らかな髪が指にまとわり、なんともいえない気持ちになる。
「…意識されとらんのやろか」
互いに想いを伝えて、触れるくらいのキスなら何度か交わした。
勿論、それ以上の行為に及びたい気持ちがないわけではない。
けれど…こうして無邪気に頼られるのも、悪い気はしない。
「はぁ…惚れた弱み、やろか。千秋が聞いたら、笑い死にそうやね」
小さくため息をついてから、時折光る雷光に目を細める。
「随分、遠ぉなったわ」
雷光の後に訪れる雷鳴は、先程よりも随分間隔が開いて来た。
「もう少ししたら、この子起こして部屋に返さんとあかん…ね」
名残惜しげに頬を指でつつけば、くすぐったそうに笑うて…俺の方へ身を寄せて来た。
「…勘弁してや。我慢の限界超えたら、場所も何も考えず…抱いてまうよ?」
困ったようなことを言いながらも、擦り寄った体を抱きしめてしまう自分のこの手が憎い。
「壁薄いって、千秋に念押されとるんやから…」
愛してるから、欲しい
大切だから、まだ、抱けない
好きだから、求めて欲しい…
「ほんま、恋は…面倒やね」
けど、それも…あんたなら、悪くない。
小さな悩みも、大きな悩みも…あんたのためなら、この胸がいくら恋焦がれて苦しゅうても、構へんよ。
「せやから……もう少し、子供のままでおってな」
そうすれば、俺の男の欲望も…もう少しだけ、抑えとれる。
約束と戒めの意味も込めて、俺は次の雷鳴が鳴り出すと同時に…眠る彼女の瞼に、キスをした。
「なんだ、蓬生…寝不足か」
「…ええから、起こさんどいて」
「駄目だ。今日は昼からライブだって言っただろう」
「あー…せやった…ねぇ」
「…まぁいい。昨夜は随分と大変だったみたいだからな」
「いけずやねぇ…知っとって声、かけにきたん?」
こんな可愛い蓬生だって、好きですよ。
小さい頃から一緒にいるから、一線越えるきっかけが…中々ないんでしょう。
たまにはこういうのだって、書きます…書けます、多分(え!?)
菩提樹寮の壁の薄さってのがどれくらいなのか気になる自分はおかしいと思ってきた(苦笑)
詳しい寮生活の話とか、設定とか…教えてぷりぃず!!